一思想伝

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お母さんの持論を思い出し、叫ぶ。なんて貧相な、と思ったのも束の間、それは起こった。 スローモーションが引き伸ばされる。意識だけを取り残し、時間の流れが変わる。それが普通のように、普段感じていた一秒が、実は一時間であったように。 恐ろしく遅い世界で、私は見た。 聞いたことない変な音を立てて、触れていたガラス窓が突然砕けた。ガラスが割れたのではない。枠ごと砕けたのだ。触れていたのは校内からなのに、まるで外から強い衝撃を受けたようにガラスは、窓枠は壁から引き剥がされた。 支えがなくなり、床に倒れこむ。背中から落ちる。 続いて、ガラス窓も重力に従って落ちてくる。鋭利な方を下に向け、意志無く私を殺すように。 私に向かって落ちてくる。撃たれたあとにガラスの雨。もう助かる確立は低い。 死んだ。今度こそ。 もういい。死ぬならそれまでしっかり一部始終を見届けよう。目は開けたままにしていると、その瞬間はやってきた。 窓枠が、ちょうど私の前に落ちてきて、三発あった光線をすべて身代わりに受けてくれた。 額にあった光線は、ひしゃげた窓枠に当たった。 喉笛にあった光線は、落ちる途中で重なり合ったガラス片に当たった。 心臓を狙ってた光線は、砕けた窓枠に当たった。 光を受けたガラス、窓枠は粉々になった。受けなかった部分は繊細な音をあげて廊下に崩れた。 私も倒れる。倒れたときに鈍痛は走ったが、ほかに怪我はしていない。 「また、奇跡がおきた……」 私も、テロリストも、今おきたことがうまく消化できないない。
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