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同じ奇跡が二度、それもこの短期間に起きたとなれば、それは奇跡ではなくなる。偶然でもなくなる。必然。必然だ。
一つ目の奇跡はマシンガンで撃たれても当たらなかった。
二つ目の奇跡は光線で撃たれても当たらなかった。
なにかある。なにかはわからないけれど、今の私は”持っている”。
口元に笑みが浮かんでいるのは、この状況を楽しんでいるからだろうか。いかれてる。自分でもそう思う。
階段にいる人は動かない。逃げれるかもと思って後退すると
「動くな」と怒声が飛んできた。声変わりを経た低さ。十中八九男性だ。運が悪い。女性の私があ男性に勝てる見込みは限りなく低い。体力、腕力は遠く及ばない。それに、相手にはあの光線がある。
「動いたら射つ」
また三つの光が宙を舞う。同時に、また私の胸と額と喉にレーザーが伸びてきた。
「お前、なにもんだ」と声を響かせながら歩み寄ってくる。ぼんやりとした人影はしっかりとした形を持って私の眼前に立ちはだかった。
思ったより若い。私と同い年ぐらい。背は私より高いが、男性としては平均的な身長だ。そして、一番の不思議。宙に浮かぶ三つの光。マジックなどではない。完全に浮いている。火の玉のようではあるが、光は人工的だ。火の温かみも不気味さも伴っていない。
光は硬く、冷たく、無機質だ。忘れていた恐怖を思い出すぐらいに、輝いている。
ガラスを足で除け、さらに彼我をなくす。
「カクセイグミか?」
「かくせい……?」
カクセイ……覚醒か。覚醒組。
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