24人が本棚に入れています
本棚に追加
「保留だ」
「は?」
「今は殺さないでおいてやる」
有難いことのはずなのに、腑に落ちない。
「どう……して?」
殺してくれと懇願していたように、訊いていた。
その人は言った。ひどくつまらなそうだった。
「お前が、あの人の子どもだからだ」
一瞬、意味がわからなかった。
「あの人って、お母さん?」
「そうだ。お前のお母さん。俺の直属の上司。正確にいえば、上司だった人。その人の娘だからだ」
「お母さんが?」
消化できないことが多すぎる。
最初のコメントを投稿しよう!