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乱入者が開き、そのままにされたドア。銃の後ろにあったため、被害をまぬがれた数少ないものの一つだ。そのすぐ近くの壁は弾丸の通ったあとがあるので、わざと壊さなかったんじゃないかと思うほどだ。
意識のすべてを耳に集め、いくらこらしても音は聞こえて来ない。鼓膜はいかれてないはずなので、本当に静まり返っている。
時間にしてみればどこのクラスも講義の真っ最中なので静寂は不思議じゃないのだが、これは異常だ。人が作る静寂ではない。人がいないからこそ生まれた静寂だ。
「そうだ! 外」
頬に風を感じ、振り向いた。ガラスを通さない景色は空を映している。地学の講義室は三階にあった。飛び降りて脱出はできないが、状況を見渡すには十分な高さのはず。
ガラス片に注意して窓枠に手をかける。変形しており、新たにガラスを嵌めても使い物にならなそうな四角。その向こうは、まるでB級ホラーさながらの光景だった。
散らばる死体。流れる赤。重なる人。
建物や死体のそばにある自転車はまったく壊れていない。死体の損壊もここより少ない。スナイパーが一撃で仕留めたような綺麗な死体がそこらじゅうにあった。静かなはすだ。うるさい人は、みな死んでしまったのだから。
「すごい」
……すごい?
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