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「・・・そうだな。レオンの言う通りにしよう。推薦した者が推薦された者の補佐となってもらう。」
生徒がみんなの前で正しいことを言ったのだ、それを先生として否定するわけにはいかなかった。
先生として生徒が間違えを起こしたならそれを否定し、良い方向を導くのが先生であり、また、生徒が良いことを起こしたならそれを褒め伸ばすのもまた先生だ。
今回は後者だ。
つまり否定するわけにがいかなかった。
これがまだレオンとの1対1ならまだ対処ができたかもしれないが、みんなの前でされてしまっては、対処なんてできるわけもなかった。
しかしやはり誰も手を挙げることはなく教室は静かだった。
(これでいい。)
レオンの思惑通りにことが運んでいた。
なぜ、レオンが副委員長制を発言したのかというと、あのままでは確実にレオンが推薦されえていたからだ。
リンととの会話で、リンから、先生から信頼されている優秀な生徒として確実に推薦されていた。
それを防ぐための発言。防止策だったのだ。
「そんなにやりたくないの?」
サイカがレオンに寄り耳打ちした。
「したくないに決まってるだろ。面倒くさいし、時間を奪われるのが嫌なんだよ。」
「・・・私と一緒でも?」
「・・・あぁ。」
「そっか・・・」
「サイカとなら、そりゃ他の奴と比べたら仕事も早く終わるかもしれないけど、それでも時間はやっぱり奪われるしな。」
「それはレオンが委員長で、私が副のときの話でしょ?」
「あぁ。」
「じゃあ、私が委員長するからレオン副やってよ。仕事はほとんど私がするから、時間は大丈夫だから・・・ね?」
「・・・いや、俺はお前の時間も奪われるのは嫌なんだよ。これからチームを組むんだからできるだけ、自分の能力向上に時間を使ってほしい。」
「そっか・・・なら私ができるだけ時間を作れるように協力してよ。」
「協力してよ・・・ってまさかお前!?」
「うん。もう決めた委員長になる。」
「お前なぁ・・・せっかくさっき委員長にならないようにしたのに・・・」
「ごめんね。でももう決めたの。」
サイカの目は本気だった。
「・・・わかった。やるよ副委員長。」
「ありがとっ」
「先生!私が委員長やります。」
サイカが手を挙げて言った。
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