プロローグ

8/11
前へ
/31ページ
次へ
「もしかしてあれくらいで俺を出し抜けるとでも思ってたんですか?」 レオンは呆れ顔で、それでも少し苛立っているのがわかる表情をしている。 「てへっ。」 リンはペロッと舌を出した。 所謂テヘペロというやつだ。 普段はクールでかわいいと言うより綺麗なリンがあざとい行動をとると、もちろんかわいいのだが、普段とのギャップのせいでより一層かわいく見えてしまう。 リンと近い年齢の男性だったりリンに異性として興味のある男子でさえも、思わず見とれてしまうほどの可愛さだろう。 だが、レオンはリンと年齢が近いわけでもなく、異性として興味があるわけでもないためリンのその行動はレオンをただ苛つかせただけだった。 「・・・今ので決心しました。なにもやりません。誰か他の人を選んでください。」 「そうか。わかった。」 レオンがイライラしてたのがわかったのだろう。リンはあっさりと引いた。 「じゃあ、サイカ。お願いできないかな?」 「えっ?私ですか?」 「ダメか?」 サイカは迷っているようだった。 (さすが去年担任だっただけはあるな。頼まれたら断れないって知っててサイカにお願いしたな?) サイカは人から頼まれたことは断れない性格だった。 もちろんその頼み事が悪いことだったり自分にとってマイナスなことだったら断ることはできる。 しかし今回のようなサイカ自身があまりやりたくないことでも、自分がやれば誰かが楽になるような場面になると断れなくなってしまう。 「その・・・私・・・誰もやらないのでしたら・・・」 「だめだ。」 「えっ?」 レオンがサイカの言葉を遮ると、サイカは驚き話すのを止めた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加