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「サイカは俺と『組む』予定なんだ。それなのに委員長なんかで時間をとられてこれからのことに影響なんて起きるなんてゴメンだ。」
レオンの発言に回りがざわざわし始めた。
「なに?もうパーティーを決めてるの?早くないかしら?」
「早くないですよ。すこし遅いくらいです。それに一番を目指している連中は早くて当たり前ですよ。」
「一番ねぇ。難しいと思うぞ?」
「難しいことくらいわかってますよ。でも・・・」
その続きを言おうとはしなかった。
少しの沈黙が続いた後サイカが申し訳なさそうに声を張らずに言った。
「私・・・すみませんがお断りさせていただきます。」
「サイカに断られた!?」
サイカには断られないと思い込んでいたのだろう。リンは驚きを隠せない様だった。
「・・・まぁ、断られたのなら仕方がない。サイカは諦める。」
リンは「はぁ・・・」とため息を吐いた。
諦めると言ったもののやっぱりレオンかサイカのどちらかに委員長をやって欲しかったのだろう。リンの吐いたため息には期待から落胆したのが感じ取れた。
落ち込んでも仕方がないと思ったのかすぐ生徒たちに立候補はいないかと聞き始めたリン。
しかし、やはり誰も立候補に出てくれる生徒はいなかった。
「・・・仕方ない。あまりやりたくなかったが、誰も立候補しないのなら推薦してもらうしかないな。」
リンのこの発言により生徒達がざわつく。
「推薦にするのはいいですが・・・」
手を上げながら発言し始めたレオン。
「ただ推薦するだけじゃ、ただの他人任せになってしまうので推薦した人がその補佐、つまり副委員長になるっていうのはどうでしょう。」
リンが『うーん』っと教卓に右ひじを付け、右手を口元に添えながら唸ると考え始めた。
リンはレオンが言ってることは正しいと認識しているが、結局それでは誰も推薦しなくなり推薦の意味がなくなってしまう。
それもそのはず、生徒達はなにもしたくないのだ。
委員長も、副委員長ですらやりたくないのだ。だから誰も立候補しない。
だからこその推薦だ、これならだれかに押し付けることができた。推薦した者は何も気にせずただ『お前ならできるって』とそれっぽいことを言うだけでなんの根拠もなく推薦する。
それはリンもわかっていた。
しかし、レオンの発言を先生として無視してしまうわけにはいかなかった。
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