旅は道連れ世は情け

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「みんなで考えて決めたんです。 最後にやりたいこと。」 それが温泉旅行か……。 まあ、考えて決めたのならそれなりの理由があるのだろう。 「いいじゃん、楽しそうで。」 「だから、お前には邪魔をしてほしくないんだ。 私たちが決めた、KSB最後の活動なのだから。」 「邪魔はしないから、さ。」 「ダメだ。」 頑なに拒むデブ。 こいつはなかなか骨が折れそうだ。 「旅は道連れ世は情け、って言うだろ。 ここで会ったのも何かの縁なんだからさ。」 「なにを言っても無駄だ。 お前は連れて行かない。」 「……いいんじゃないですか?」 パッツンが言う。 思わぬ増援だ。 「せっかくだし、人数は多い方がいいですよ。 ね、シュバルツさん。」 「僕はどっちでもいいよ。 温泉さえ行ければそれで。」 「……そうか。」 二人の言葉を聞いて、デブが考えるように言う。 「まあ、この旅行のプランは私が決めるものではないしな……。 二人がそれでいいと言うのなら、うむ……。」 「それじゃあ、俺も一緒に行っていいのか!?」 「ああ……。 そのかわり、先ほども言ったように私たちの邪魔だけはするなよ。」 「よっしゃ!! ありがとう、邪魔はしない!!」 何故か俺は、ガッツポーズでよろこんでいた。 どうしてこいつらと温泉旅行に行きたいのかはわからない。 ただ俺は、遠足に行く子供のようにワクワクしていた。
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