旅は道連れ世は情け

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「そうと決まれば、自己紹介だな!!」 俺は後ろを向いて言う。 「俺は後藤喜一郎!! 27歳独身、今は無職だ!!」 自分で言って、とても悲しくなった。 そうだ、俺は無職だった……。 「無職、屑だな。」 シュバルツの言葉が突き刺さる。 言い返せない。 だって無職ですし……。 「僕はシュバルツ・エッセングルダス。 歳は人間で言うところの23。 魔界では貴族をしている。」 なに言ってんだこいつ。 「魔界ではって……。 人間界ではなにをしてんだよ。」 「アナザーワールドだ。」 「アナザーワールド?」 「ネットゲームですよ。」 パッツンが教えてくれた。 ネトゲか……。 こいつもしかしてニー……、いや、聞かないでおいてやろう。 「で、パッツンは?」 「あ、私はナナです……。 歳は17で、一応、高校生です。」 「女子高生か。」 「はい……。」 と、パッツンもといナナは恥ずかしそうにうつむく。 顔は悪くないが、少しばかり陰気だな。 「で、あんたは?」 「私か? 私は管理人ポルコだ。 歳は、言う必要はないだろう。」 「それもハンドルネームか?」 「ああ。 KSBのみんなにはポルコと呼ばれている。」 ポルコねぇ……。 こいつは飛ばないブタだからただのブタだな。 歳は40半ばってところか。 「ポルコにシュバルツにナナ、か。」 なんとも個性が強いメンバーだことで……。 これは、大変な旅行になりそうだ。
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