旅は道連れ世は情け

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四人、一つのテーブルに座って早すぎる夕飯を食べる。 俺とポルコは牛丼、ナナはサンドイッチ。 シュバルツは、興奮しながら持ってきたよくわからないアニメキャラのご当地弁当を食べている。 「………。」 「………。」 人は飯を食べているとき、黙る。 それはどんな人間でも同じらしく、俺たち四人も何も言わずに黙々と夕飯を口に運ぶ。 なんとも微妙な空気だ。 「人って、どうしてご飯を食べているときは話さないんでしょうかね……。」 先にサンドイッチを食べ終えたナナが言った。 俺と同じことを考えてたのか……。 「食べる器官と話す器官が同じだからだろう。」 「!!」 シュバルツの答えに俺は衝撃を受けた。 長い間、俺を悩ませた謎がようやく解けた瞬間だった。 なるほどなあ……。 食べるのも話すのも口を使うもんな。 同時には出来ない。 「お前、頭いいな。」 「貴族だからね。」 まだ言ってんのかよ……。 「でもよ、魔界の貴族がどうして人間界にいるんだ? 魔界に帰れよ。」 「僕がいると魔界のエネルギーバランスが乱れてしまうからだ。 逆を言うと、僕の強大な魔力のおかげで人間界は守られているということだ。」 「……すげぇな、お前。」 「ふん、貴族なのだから当然だ。」 「いや、そうじゃなくて。」 お前の頭の中が、なんかもうすげぇよ。 なんてくだらない話をしているうちにポルコも食べ終えたようだ。 見た目に似合わずポルコは少食で、食べるのも遅かった。 なんか、気持ち悪い。 「それじゃ、行くか。」 ポルコの一声で、俺たちは立ち上がる。
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