旅は道連れ世は情け

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「すんまへん。 もうちょっと待ってくれまへんかねぇ。」 ドア越しに言うと、怒声と共にドアが殴られる。 「お前後藤!! そんなこと言っていつまでも払わんやないけ!! それにそのエセ関西弁も腹立つからやめんか!!」 叫びながら何度もドアを叩くのは、千田金融の千田さんだ。 「ワイから借りた50万と、利子の50万。 合わせて100万。 明日までに用意しといてください。」 「あ、明日ですか!? それに利子50万なんて……。」 無茶苦茶だ。 「ごちゃごちゃ言う時間があるんやったら、内臓でも売って金用意したらどないでっか? 明日までに用意出来んかったら、その時は……。」 「その時は……?」 「お前さん、プッチンプリンやで。」 「プッチンプリン!!」 意味はわからないが、とりあえず恐ろしいことになりそうだ!! 「ぷぷぷ、プッチンプリンだけはどうかご勘弁を!!」 「それが嫌なら、なんとしてでも金用意せんか。 ま、楽しみにしとくわ。」 それだけ言うと、千田さんは笑いながら帰って行った。 「プッチンプリン……。」 膝を落とし、絶望の中で俺は呟く。 どうしよう……。 ふらふらと台所へ向かい、水を飲もうと蛇口をひねる。 が、水道が止まっているので水は出ない。 途方に暮れて頭を抱えた俺の視界に、包丁が入る。 「やるしかないか……。」 俺は、震える手で包丁を掴んだ。
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