旅は道連れ世は情け

8/48
前へ
/50ページ
次へ
「犯人は黒のワゴン車に乗り逃走。 都警察はグループによる計画的犯行として捜査を進めています。」 「グループによる計画的犯行、ね。」 警視庁も案外アホなのかもしれないな。 なぜなら俺の犯行は、"グループ"でも"計画的"でもないからだ!! なんて、自信満々に言ってみるが、一番のアホは間違いなく俺だな。 「私たちまで共犯になってしまっているのか。」 デブがハンドルに額を当ててため息をつく。 自殺サークルから強盗グループへ。 どっちもどっちな気もするけどな。 「どうします?」 「どうするもこうするも、警察に引き渡すしかないだろう。 私たちまで捕まってしまったら、せっかくのプランが台無しになる。」 「そ、それだけは堪忍してくだせぇ!!」 そんなことになったら、借金を返すどころではない。 逮捕されたらもちろんお金も没収。 服役されて出所できたとしても、俺を待つのは千田さんのプッチンプリンだ。 「ほ、ほら!! 顔はバレてないんだから、大丈夫でしょ!!」 「無理だ、車がバレている。 ここに隠れていても見つかるのは時間の問題だろう。」 「あ、新しい車を買えばいいだろ!! 金はあるんだ!!」 「札には番号が振ってあるのだから、使えば一発でバレるぞ。 それに、車なんてすぐに買えるものじゃないだろう。」 「うぅ……。」 デブに正論で責められ、悔しいが何も言えない……。 何か、何か考えないと……。 このままじゃ、本当に千田さんにプッチンプリンにされてしまう……。 ……ん? 「そうだ、そうだよ!!」 逆転の発想だ!! 最高のアイディアが俺の頭に浮かんだ。 「おい、パッツン!!」 「は、はい!?」 「スマホ持ってるか?」 パッツンにスマホを借り、俺はある人物に電話をかける。 この窮地を救ってくれる、ただ一人の人物に……。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加