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「いや、いいです」
「何恥ずかしがってるんだよ、子供じゃないんだから」
「そうじゃなくて、それってケーキは大丈夫でも虫とかはたからないんですか」
「……」
トーマ先輩はそっとケーキの皿を机の上に置いた。
「それで、最初の仕事はどうだった?上手くやれそうかい?」
「ええ。俺に向いてるかはまだわかりませんけど頑張ろうと思います」
「今回は楽な方だ。いつもはもっと複雑で危険で……耐え難い。この世界で伝えられてる迷信だが、蛇足に関わったものはそれにまつわる重大な決断を三回しなくてはいけないという。そもそも蛇足に関わって幸せになった者など少ない。それでもいいのか?」
「はい」
「そうか……」
そう言って彼女は遠い目でどこかを眺めた。それは過去の出来事かもしれなかったし、未来に予想される何かかもしれなかった。
あなたの傍にいたいから、とは言えなかった。
「じゃあ、まず手始めにこのケーキを食べてもらおうか」
ずい、と差し出されるケーキの皿。
「嫌ですよ。何でそんなもの食わなくちゃならないんですか!」
「優秀な憲兵隊員になりたいんだろう?それには必要な過程だ!試練のようなものだと思え!」
「何変な理屈つけてんですか!食べるなら自分で処理してくださいよ!」
「先輩命令!先輩命令だから!」
本当にやってけるのか、少しは不安に思うってなもんだろう。
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