18人が本棚に入れています
本棚に追加
ワケが分からず、とりあえず、シカトをしていると
「お願いします…あ、の…わたし、頼る相手がいないん、です」
声が震えている。
横に座る女をチラリと見ると、ずいぶんやつれ、本来なら美しいであろう面立ちも、目にクマ、顔に影を落としていた。
めんどい。
「俺、次降りるんで」
「あの…っ」
だけど、暇だし な。
「どこか喫茶に入りましょう」
「……っ、ありがとうございます…っ」
女は電車が停車するまで、声を押し殺して泣いていた。
顔を覆う、その右手にシルバーリングが光っているのを見た。
最初のコメントを投稿しよう!