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「お願いします…! あの人とほん少しでいいから話したい…! そのために力を貸してください…」
彼女は相当参っていたようだ。
スグルの奥さんは毎日面会に来ているらしい。
奥さんに迷惑をかけたくない一心で、すぐに会いにはいけない。
そして夫に本当のことも告げられないし、友人は会社の元同僚で、相談など到底できない。
死期は狭まるばかり。挙句、俺に声をかけてきたらしい。
俺はチエミに、二日だけ待ってほしいと言った。絶対会わせてやるから、と。
ただし、スグルと話せるのは、わずかの時間だけであるとも前置きした。
それでも良いかと聞くと、チエミは頭を下げて、俺に依頼した。
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