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宝(ほう)とウォルフは同じ場所で暮らしている。
それはウォルフがまだ卵だった宝を見付けてから変わらない。
「おるふ!」
リンリンッと鈴の音を鳴らしてやって来たドラキュラフィンチの宝は銀狼のウォルフの名前を呼んだ。
「…どうした?宝」
「あのね!きょうね、たいいくってじゅぎょーがあるの!」
「……」
「たいいくのせんせーね、くびにすずつけちゃだめですよってゆってた!」
「なに先生だって?」
「んと、なにせんせーだっけ?」
「今日の体育の授業は受けなくていい。俺の授業を受けに行こう」
「?おるふのじゅぎょーはなーに?」
「さぁ?」
ウォルフは常に宝の身を案じて、自分の高等三年のクラスよりも、宝の中等一年で一緒に授業を受けているので自分のクラスの時間割を把握していないのだ。
「おるふのじゅぎょーもたいいくだったらどーするの?」
「だったらサボる」
「おるふ、たいいくすきなのに?」
「宝が受けられないなら、俺も受けない」
「…あのね、すずはずしたらじゅぎょーうけてもいーってゆってたよ?」
「鈴は外さない。俺との約束だろ?」
宝はうーんと、小さく頷いた。
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