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何時ものように、授業が終わり、帰ろうとした僕の耳に鈴の音が入ってきた。
辺りを見渡しても、姿は何処にも無かった。
気のせいかと思った次に、また鈴の音が聞こえた。
「これは、上から?」
上を見上げて、見渡すと木の枝に中学生くらいの男の子が座って下を見ていた。
「もしかして」
降りられないのかと思って僕はその子に近付いた。
僕は母が雪女の雪の精だから空は飛べる。飛べると言うより宙に浮けるのが正しい。
「どうしたんですか?」
「ん?わっ!?おにーちゃんそらとべるの?」
「宙に浮いているんですよ。それよりもきみは、どうして木の上に居るんですか?」
「かくれんぼ!」
「かくれんぼ?ってことは降りられるのですか?」
「おりられるよ!だってボクどあきゅあひんちだもん!」
「どあ?それはどういう種族なのですか?」
「んとね」
「宝!」
「え?」
木の下から声が聞こえ下を見ると狼が居た。
「みつかっちゃった」
「え?狼と知り合いなのですか?」
僕は驚いた。
種族を超えた出会いがあるなんて、と。
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