第五章

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「ごめんね、突然呼び出しちゃって」 美和子は冷蔵庫から缶ビールを四本取り出した。 テーブルにはすでに料理が並べられていて、サラダにエビチリに酢豚、どれもが智樹の好物だった。 「なんかすみません、これじゃあ僕の誕生日パーティーみたいで」 そこまで言って智樹は顔を激しく歪め、脛(スネ)をさすった。 向かいに座る由衣が前のめりになって「ちょっと、森永みたいなこと言わないで!」と小声で戒める。 「大丈夫よ、由衣、これでもだいぶ整理できたの、もう心配ないわ」 由衣の横に座ると取り皿を配り始め、茂はグラスを智樹に差し出した。 智樹のグラスにビールが注がれると、きめ細かな泡がなみなみと膨れあがった。 「通夜のときは世話になったね、感謝してるよ」 「とんでもないですよ、美和子さんも落ち着いたようで一安心です、僕にできることがあれば何でも言ってくださいよ」 美和子は微笑んで「ありがとうございます」と深々頭を下げた。 「もう智樹のことはいいから早く食べましょう」グラスを持ち上げる由衣。 それに応えて皆は目を閉じ、静かに志保里の冥福を願った。
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