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─ピピピ、ピピピ、
夜中の12時過ぎ、仕事を終えうとうとと船をこいでいた時、僕の携帯に着信がきた。
「ん?…あ、」
表記には、上司の忠信さんの名前が出ていた。
忠信さんはよく夜中に仕事の電話をしてくる。迷惑ではあるが、忙しい人だ、仕方ない。
「はい」
『……』
「忠信さん?」
『もしもし』
(ん?)
電話の向こうからは、少女の声。
何でだ?、と思いながらも娘さんが居たことを思い出した。確か、名前は叶恵ちゃん。10才という年齢を考えても電話の向こうの少女の声と合致する。
「叶恵ちゃん、かな?」
『うん』
「どうしたの?」
『……』
叶恵ちゃんは答えない。何か変だ。
忠信さんは規則正しい生活を好む。そんな人が成長がまだ未熟な子供がこんな遅くまで起きているのに、怒らないはずがない。
それに、これは忠信さんの携帯。
不安が胸の内でどんどん大きくなっていく。
「叶恵ちゃん、お父さんは?」
『パパ…』
「?」
声が震えている。
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