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「は?…知り合いってREINのメン バーだろ?お前知らないの?」
「知ってるよ、橘詩紋だろ?」
「…お前先輩を呼び捨てとか」
「良いんだよ、嫌いだから」
宗二郎は拗ねたように頬を膨らませていた。
嫌いってあの人を嫌う要素がいったい何処にあるんだよ。
「詩紋先輩は人が嫌がる事をしないよ」
「…数時間前に会ったのになんで分 かるんだよ……まぁ、俺は橘詩紋の 弟と同じ研修生で仲が悪いから必然的に兄も嫌いなだけだけど」
数時間前が初対面だと見破られた方を驚いていた俺だった。
REINはジョウ以外全員弟が居る(皆 芸能界入りしている)
だから大して驚かない(詩紋先輩の 弟は誰だか知らないけど)
そして宗二郎がまだ膨れっ面で俺を見る。
「…デートに行くのか?」
「デートじゃねーよ!!買い物 だ!!」
買い物を主張すると宗二郎は 「ふーん」とか言って俺の無い胸を触ってきたのでかかとで足を踏んでやった。
※詩紋視点
最初はただの好奇心だった。
いきなり今朝理事長から連絡をもらい、 REIN全員集められた。
REINはもともとマネージャーが居 なくて全て自分達でやっていた。
だからREINを集めてから理事長か らマネージャーの話を聞かされた。
歳は17の高校生マネージャーらし い。
悠は「ド素人のガキがマネージャーなんて出来ねぇよ!!」と怒り、悠人は「可愛い女の子なら大歓迎なんだけどなぁ~」と期待を膨らませて、龍之介は「今更マネージャーなんて邪魔なだけだ」 と嫌悪感を抱いていた。
ジョウは興味ないのか、無言だっ た。
僕はマネージャーなんて初めてだから少しワクワクしていた。
そして現れたマネージャーさんは何処にでも居る平凡の少年だった。
他のメンバー達が文句を言うと、 シュンとなってしまった。
何だか可哀想に見えたので僕だけは味方になっておこうと思った。
……ただの好奇心だった。
だから、まさか貴重な休日を彼と過ごすなんて思ってもみなかった。
彼に僕の事を知ってもらいたいと 思った。
……芸能界に入った理由であるあの 子よりも好きになっていたのかもしれない。
自覚するにはまだ早すぎるけど…
チラチラ他の生徒達が僕を見る。
僕が誰かを待ってるのってそんなに珍しいかなぁ?
目当ての人物が現れて軽く手を振 る。
こんな待ち合わせをしていて相手が来ただけで嬉しくなった事が あっただろうか。
……僕は知らない。
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