100人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
それは小さな昔話。
満月が綺麗で星が沢山見える見晴らしがいい場所に子供の頃秘密基地を作った。
大好きな親友と呼べる男の子と二人だけの秘密として…
そして家族に内緒で家を抜け出し、二人で星を眺めにやって来た。
「……凄い綺麗だね」
「うん、そうだね」
俺は星に夢中で親友の男の子が星ではなくこちらを見ていた事に気付かなかった。
「俺ね、将来世界的な有名人になりたいんだ」
「有名人?なんで?」
今まで一度も聞いた事がない夢を聞き首を傾げた。
すると親友の男の子は満月のように眩しい笑みを見せた。
「だって、俺が有名人になったら…もし離ればなれになってもいつでも暁くんが探せるでしょ?」
「え……離ればなれにならないよ?」
もしもの話だと男の子が笑っても、小さい頃の俺は嫌だった。
男の子は遠いところを見るように星を見た。
「暁くん、俺を探して……今度こそ離さないでね」
「え!?どういう事ーーくん!!」
彼が誰だったのか年を刻む度に忘れていった。
だって彼は、あの約束の日の翌日……誰にも何も言わず転校してしまったから…
彼は最後にこう言った。
「……俺は暁くんが何処に居ても探し出すからね」
最初のコメントを投稿しよう!