第1話:平凡高校生、マネージャーになる

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浅村悠が言うと続けて高口悠人が 言った。 「俺達はもともとマネージャーなしで此処まで上り詰めたんだから今更手柄横取りしてデカイ顔されても困るんだよねぇ」 ななっ…… トドメは室田龍之介が言った。 「お前のような何も知らない一般人のせいで足を引っ張られたくない、学院側の事情がどうであれコッチに責任押し付けないでいただきたい」 俺は固まって何も言えなかった。 ……確かにそれは当たっていた。 俺なんかがマネージャーとか、誰が見ても分かってた事だろ? 三人は立ち上がりドアの前で突っ 立ってた俺を押し退けて部屋を出てしまった。 ジョウも一言も発せずに部屋を出 た。 理事長は何もフォローなくうろたえていた。 そして俺の肩を誰かが優しく叩い た。 俺は顔をあげると、まだ居たのかと驚いた。 「大丈夫だよ、何もしてないうちから無能だと決めつける事はない、皆に認められるマネージャーになってね」 「…橘、先輩」 そして橘詩紋は去り、俺と理事長のみとなっていた。 理事長から進級させてもらい皆よりちょっと遅い二年生になった。 マネージャーの仕事の為に理事長と電話番号の交換して今は誰もいない廊下を歩いている。 もう入学式始まったのか。 そういえば浅村悠も入学式だったっけ?(中学からの持ち上がり組だけどね) 今の俺はなんか行く気がなかった。 理事長も「疲れたなら今日は寮で休んでね」って言ってたし、良いよね。 しばらく歩いていると、しゃがんだ少年が居る事に気付いた。 真新しい制服に身を包んだ少年は きっと新入生なんだろう。 …あれ、でも今入学式… 「…ねぇ君」 「ハッ…すみませんすみませ んっ!!迷子になってただけでサ ボってた訳じゃ…」 どうやら先生と勘違いしてるみたいだ。 そして迷子らしい。 俺の制服を見てポカーンとしてい る。 新入生だし、目の前で困ってる人はほっとけないよな。 安心させるように新入生に笑いかけた。
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