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「あかりこそどーなの?」
最後に残った線香花火を落とさないように手先に全神経を集中させながら聞いてると「んー」と悩んでるような声音が届き視線を向けた。
「ぼちぼちかなぁ。ま、そのうち出来るかなぁ」
あかりは女の私から見ても綺麗で、黙っててもそのうち彼氏出来るんだろうなぁって思ってると線香花火の火花が地面に落ちてしまった。
「あ。もうちょいだったのになぁー」
「まだあるんだから大丈夫。……で渋沢とはどうなの?」
なんで滝の名前出るんだろ?って思ってると滝が私の隣に腰掛けてきて、線香花火の火花を落とそうと私を左右に揺らしてきた。
「やーめーてー!!真剣なんだから」
「線香花火ごときに真剣になんなよ。あれだろ?線香花火が落ちなくて消えたら、願いが叶うとかいう奴だろ?あんなの嘘だろ」
乙女の願いを砕く滝を軽く睨みつけると、滝は気にしてないように口元を吊り上げていた。
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