第1話 念願叶う! 颯、巫女さんデビュー!?

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やっと、着いた。 ここが私のお家。 桜坂神社と書かれた看板の前で、自転車を降りる。 自転車を押しながら鳥居をくぐり、参道を進んだ。 なだらかな傾斜の参道は結構、長い。 神社としては大きいほうだから。 立派なお祭りもあるぐらいだし。 毎年秋に氏子さん達がお神輿担いで、神楽が奉納されるの。 神楽の奉納はお母様がやってたんだけど、死んじゃってからは他所の神社の巫女さんにお願いしてる。 でも、来年は……私がやりたい。 今日が、その第一歩。 絶対に頑張ってみせる。 だから…… 「みててね、お母様」 私は意気込みを新たに、参道を抜ける。 傍らには社務所。 住宅を兼ねていて、私達家族はここで寝食している。 私は所定の位置に自転車を並べ、玄関に上がった。 ベッドと勉強机が置かれた板間に荷物を投げ置き、畳敷きの和室へと階段を駆け降りる。 「ハヤちゃん、待ってたよ」 座布団の上で正座している素敵な神主さんが、私のお父様。 40手前にしては妙に若々しく、ちょっと福山雅治入ってる。 さっそくと……既に新品の巫女装束を用意してくれていた。 私はありがとと、頬を紅潮させたまま階段を駆け上がる。 ここまではよかったんだけどなぁ~。
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