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やっと、着いた。
ここが私のお家。
桜坂神社と書かれた看板の前で、自転車を降りる。
自転車を押しながら鳥居をくぐり、参道を進んだ。
なだらかな傾斜の参道は結構、長い。
神社としては大きいほうだから。
立派なお祭りもあるぐらいだし。
毎年秋に氏子さん達がお神輿担いで、神楽が奉納されるの。
神楽の奉納はお母様がやってたんだけど、死んじゃってからは他所の神社の巫女さんにお願いしてる。
でも、来年は……私がやりたい。
今日が、その第一歩。
絶対に頑張ってみせる。
だから……
「みててね、お母様」
私は意気込みを新たに、参道を抜ける。
傍らには社務所。
住宅を兼ねていて、私達家族はここで寝食している。
私は所定の位置に自転車を並べ、玄関に上がった。
ベッドと勉強机が置かれた板間に荷物を投げ置き、畳敷きの和室へと階段を駆け降りる。
「ハヤちゃん、待ってたよ」
座布団の上で正座している素敵な神主さんが、私のお父様。
40手前にしては妙に若々しく、ちょっと福山雅治入ってる。
さっそくと……既に新品の巫女装束を用意してくれていた。
私はありがとと、頬を紅潮させたまま階段を駆け上がる。
ここまではよかったんだけどなぁ~。
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