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それなのに……
「なんで、神様のことは信じてるのに、魔の者のことは信じてくれないの?」
私の考えは、まとまった。
だけど……
「そ、それは……」
口に出すのが憚られる。
どうしたのと、続きを催促するお父様。
私は、ごめんなさいと頭を下げ……ゆっくりと口を開く。
「神様がほんとにいるかなんて考えたことのなかったの」
私、神社の子、失格かもしんないね。
罪悪感……なのかな?
私は下唇を噛んでいた。
「怒ったりしないから……教えてよ。どうして、ほんとにいるかどうかわからない神様のこと大切にしてくれてたの?」
私は、ゆっくりと下唇を解放する。
「だって、桜坂神社が私のお家だし……それに……」
「それに……どうしたの?」
「お母様がそうだったから」
お母様は、いつも桜坂神社とお祀りしてる神様のことを大切にしてた。
「私もお母様みたいにしたかったの」
そうすることによって、お母様のことを近くに感じることができたから……お母様が近くにいてくれるように思えたの。
「私、お母様にもっと、もっと、近づきたくて……お母様みたいな立派な巫女さんになりたいの」
私は、思いのたけをぶちまけた。
「こんな気持ちで巫女さんなんてやっちゃダメだよね」
恐る恐るお父様の表情を伺う。
「そんなことないよ……それで十分だよ」
お父様はにっこりと、福山雅治を彷彿とさせる笑顔。
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