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「ハヤちゃん、一応、確認ね……退魔巫女さんにはならないってことでいい?」
私は、怖いと言っただけ。
まだ、明確な意思表示はしていない。
怖くて、怖くて堪らない。
やりたいなんて思わない。
でも……
「そんなのすぐに決めらんないよ」
私だけやらないのも無責任な気がするから。
「そうだよね。ごめんね。すぐにそんなこと決められるわけないよね。大事なことだもんね……じっくり考えて、ハヤちゃん自身で納得のいくほうを選ばないとね」
私は、ありがとうと大きく頷いた。
直後、襖が開いた。
少し頼りなさげだけど、それなりに整った顔立ちをした青年が立っていた。
神主さんの格好をしてるけど、袴の色がお父様とは違う。
「颯姉ぇ(はやてねぇ)、もう準備できた?」
私のことを姉呼ばわりする青年。
私は、この青年のことをよく知っている。
「翼……用事、もう済んだの?」
塩原翼。
杜乃ちゃんと話してたもう1人の総武高校新聞部部員で、同級生。
一緒に住んでて……誕生日は私のほうが早いから、弟みたいに思ってる。
だけど、本当の弟ってわけじゃない。
従弟(いとこ)なの。
お母様の妹……つまり、叔母(おば)様の子供で埼玉県の奥のほうにある大きな神社の長男。
今はお父様の下で神主さんの……たぶん、武者修行中。
その関係で今日も学校休んでたんだけど……
「今日は意外と早かったわね」
「なに言ってるの……これからが本番だよ。颯姉ぇも一緒に行くんでしょ?」
もちろん、なんのことかわからない。
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