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第1話 念願叶う! 颯、巫女さんデビュー!?
「な~す~の~」
ワザとらしく低くした男性の呼び声がするや否や、私の後頭部は小さな衝撃に襲われた。
「せんせ~い、酷いよ~」
私は机に突っ伏したままツインテールの間を押さえ、抗議の声を上げる。
だって……私だけじゃないでしょ。
居眠りしてたの。
それなのに、女の子の頭を教科書の角で小突くなんてさ。
あんまりだよ。
地味に痛いんだから。
「酷いのはどっちだ? 俺が、どんだけプライベート削って今日の授業の準備したと思ってんだよ」
「だけどぉ~」
どれだけプライベートを削ろうとも、つまらないものはつまらいないから仕方がない。
ほんと、メロスがなんで怒ったかなんてどうでもいいってぐらいに思えてくるの。
「だけど、じゃない。今年の授業もこれで終わりなんだから、最後ぐらいしっかりしろよ」
先生の言う通り。
私の通う千葉県立総武高校では、今日が授業納日になっている。
しかも、今は6時限目……ほんとに最後の授業。
でも、それとこれとは別の問題。
私は先生の顔を見据え、抗議の眼差しを送ろうとする。
「な、なんだ、その顔は?」
先生がたじろいだ。
流石にここまでの反応は予想しておらず、私も少したじろいだ。
「なんで、お前、泣いてんだよ?」
え?
私、泣いてるの?
どうして?
さっきの夢のせい?
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