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「で、次は? そんで、終わりきゃ?」
先生の次の言葉を待つ杜乃ちゃん。
先生は……凄い汗。
なんだか、可哀そう。
「と、とにかく、俺は那須野が泣く程、強くは叩いていない。ちょっと小突いただけだ。那須野が泣いた理由は別にあるはずだ! なぁ、那須野、そうだろ!?お前からも言ってやってくれ」
先生は、物凄く必死な顔で私に助けを求めてきた。
だから、私は少し不本意ながらも……はいと、頷いてしまう。
「そんなこと百も承知やわ。あんなもんで颯(はやて)が泣くわけあらせんわ」
「そうだろ。誤解だろ。だから、その写真は記事には使えない……わかるな!」
先生は杜乃ちゃんの瞳を真正面から捉え、返事を待った。
すると、杜乃ちゃんがゆっくりと瞼を閉じ、首を大きく左右に振る。
そして……
「先生な……とろくさぁ~こと言っとったらいかんみゃ~。誤解かどうかやなんか、関係あらせんやろ。大事なんはな、それが面白いかどうかみゃ~」
杜乃ちゃんはこう高々と宣言した。
先生は……
「んな、無茶苦茶な」
当然の反応。
「頼むからさ」
ちょっと下手に出て、杜乃ちゃんの肩に掌を乗せる。
そしたら……
「おさわり禁止だぎゃ~」
杜乃ちゃんは先生の掌を払いのけ、セクハラ教師……と呟きながらペンを走らせた。
先生、たじたじ。
教師生命の危機を感じてる。
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