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「いきなりそりゃにゃ~でしょ」
いやいやいや……そっちこそ、それはないでしょ。
「私、今日、用事あるって言ってるじゃない」
「そうやけど……そんなに大事な用事なんか?」
「だから、前から言ってたでしょ……今日から巫女さんやるって」
ずっと、楽しみにしてたことなんだから。
「そうやったみゃ~、そうやったみゃ~……確か、おじさんがやっと許してくれたんやったやなぁ」
おじさんってのは、私のお父様のこと。
私んち神社で、お父様はそこの神主さん。
「そうなの……ほんと、やっとなの」
「颯んち、他に女の人おらせんのになぁ」
杜乃ちゃんの言う通りだと思う。
お母様いないの。
小ちゃい頃に死んじゃったから。
しかも、私、一人っ子で……家族で巫女さんできるのは私だけ。
「バイト雇うぐらいなら、もっと早くにやらせてくれればよかったのにね」
自然と愚痴がこぼれる。
「まぁ、そういや~すな。お正月には間に合ったんだぎゃ~」
ありがと、杜乃ちゃん。
「うん、そうだね。お正月には間に合うんだもんね。今からでも頑張って、お母様みたいな立派な巫女さんになるよ」
愚痴言っても仕方がないよね。
巫女さんやれることには違いないんだから。
ほんと、すっごく楽しみ。
だって、巫女さんやってたときのお母様すっごく綺麗で、可愛かったんだよ。
私の永遠の憧れ。
早くお母様みたいになりたいなぁ~。
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