第1話 念願叶う! 颯、巫女さんデビュー!?

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「やっぱ、神社のことはよくわからんみゃ~」 杜乃ちゃんの言いたいことは、私も思ってる。 「跡取りのはずやのに、なんで颯んちにおるんや?」 私が翼の予定に詳しいのはこのおかげなんだけど…… 「武者修行ってやつじゃないの? 一応、ウチの桜坂神社も大きいほうだしさ」 一緒に住んでる本当に理由については、推測するしかない。 正直、私もよくわかってないの。 ただ、そんなに間違った推測じゃないとは思う。 翼、神主さんの用事で学校よく休むから。 今日も、そう。 だから…… 「私も見逃してよぉ~……翼だけ、不公平だよ」 神主さんの用事がよくって、巫女さんの用事はダメって理屈はないよね。 「颯の言うのももっともだみゃ~」 口ではこうは言ってくれてるものの、何処か煮え切らない様子。 ねぇ、お願いと私は念を押す。 「まぁ、颯の頼みならしゃ~にゃいにゃ~」 「ありがとう、杜乃ちゃん! この埋め合わせはちゃんとするから……コメダでいい?」 ちなみに、コメダってのは“コメダ珈琲店”のこと。 愛知県を中心にチェーン展開してるんだけど、最近は関東でもよくみかける。 そこの“シロノワール”ってスイーツが杜乃ちゃんの大好物なの。 私も、そんなに嫌いじゃない。 「そんな水臭しゃ~ことせんでもええわ……そんなことより、ええ条件思いついたぎゃ~」 条件あんの? そのほうが水臭くない? 「冬休みの特集記事の題材、颯の巫女さんのことにさせてちょ~よ」 「えぇ~、そんなの恥ずかしいよぉ~」 とは言ったものの、そんなに悪い気はしなかった。
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