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「はっ、頑張れよ」
俺は小馬鹿にするように鼻を鳴らし、ぽんっ、と軽く黒助の頭を叩いた。
「だが覚悟しろ。俺の釘への愛は絶対だ」
「ふん、すぐにでも僕に、メロメロになるに決まってる」
お互いに、睨み合うようにして視線を交わした。この空気、この雰囲気が、俺達二人に一番合っている気がした。
言ってることは滅茶苦茶だけどな。どちらからともなく笑いが漏れる。
大変な一日だったな……俺は今日を振り返り、昨日までの日々からの、あまりの変質に驚く。
それでも、悪い気はしなかった。
「ああ、そういえば」
俺はふと思いつく。
「黒助ってさ――元々、男か女、どっちなんだ? 俺がはじめて性別を聞いた日、お前は女だったけど。でもそれ以前から黒助は、ずっと性別の変換を繰り返してたんだろ?」
黒助は目をぱちくりと丸くする。それから黒助は、妖艶に唇を釣り上げる。悪戯っぽい動作で唇に手を当てながら、からかう様に黒助は言った。
「さあ、どっちだと思う?」
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