さよなら三角

第一話

｢見れば分かると思うけど、僕なぁ、左足田んぼにはまってしもてん。ちょっとなぁ、そこ立って、すこーし屈んで、肩貸して貰えへんかなぁ？｣

　良くってよ、と答えて、須磨子は言われた通りにした。
　男の手は泥だらけで、お気に入りの白いワンピースが汚れてしまうことは容易に予想できた。が、気にしてはならないと自分を戒めた。

　真に自立した現代女子は、人助けのためならば、何をもいとわないはずですもの……。

と。