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「……あの……兄さん」
「なんだ、なにか言いたそうだな」
昨日は結局、特になにもなかった。
いやむしろ警戒していた彩花とは別に高梨さんは俺との関係性を無理に前に進ませる気持ちはないと思えたからだ。
まあその排尿をみただけの関係というぐらいか。
「こうあれじゃないですか、あの雌犬がしゃしゃり出てきて3Pが始まってドタバタがおきるんですよ、普通。それがこれはなにもなく終わったんですよ。きた意味がわかりません」
確かに高梨さんの胸を蹂躙する機会かと思ったなんて言うつもりはないけど……まあ高梨さんも妹がきてなかったから調子が出なかったのかもな。
「引いたんじゃないか、俺と彩花の関係性が本物だと気づいて」
「確かに一理ありますね。あり得ないですよね、長年暮らしてきた妹に血の繋がりが無いとはいえ手を出したんですよ。第三者からみたら気持ち悪いかもしれませんね。気がおかしいと捉えられても文句は言えませんよ」
彩花の歪んだ笑顔。仰っていることは的を得ている。
確かに家族としてともに成長してきた妹に手を出すのはやばいよな。
そりゃあまともな人間からしたら本当に関係をもっているのを実際あってみて確認できたら気持ち悪いと思うだろう。
当然だ、本当は理性のブレーキが作用して思いとどまると考えるのが一般的であって実際に一線を越えている俺はやっぱりおかしいのだろう。
「兄さんっ、冗談ですよ。ごめんなさい。兄さんは悪くありませんよ、私が無理矢理関係を迫ったんです。兄さんの弱みに漬け込んでそうしました。だから被害者面をしてください、そして感情が安定しないなら私を殴ったりしてください」
彩花は全く悪気がない。
むしろ彼女からしたら俺がどういう態度にでてもいいのだろう。
結局のところ別れても死ねばいいとか本当にそんな単純に考えていると思う。
それが浮き彫りになることが何度もあるし。
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