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「彩花、食べれそうか?」
「とても一人では食べることができません。もし望むことができるなら兄さんの口の中で冷やして貰い、口移しは恥ずかしいのでそれをスプーンに吐き出して私に食べさせて下さい」
なにを言ってるんだ。
仮に恋人同士でも確かに口移しはハードルが高い。
しかし同じぐらいハードルが高いぞ。
期待を込めながらもどこか照れている。
彼女の中の俺ならやるのか、そんなことを。
普通に息をふきかけ冷ましてから食べさせる。
病人には優しくしてやらないとな。
少なくとも今は俺と彩花しかこの家にいないからな。
「どう?あんまり濃くないようにしたけど」
「美味しいです、兄さんの唾液が少しついているからですね」
セクハラだ、家庭内でセクハラというのが立件されるか知らないが、セクハラで間違いない。
口を開けばこうして俺をからかって…いやからかってくれるなら……本気なんだよな、これも。
「バカなこと言ってると食べさせてやらねえぞ」
「私は事実を口にしているだけです。尊厳の自由を私から奪うって事は調教してくれるんですか?」
彩花と話していると永遠に下ネタのループに陥る。
抜け出すのにも時間がかかる。
どうすればいいか、なんて考えても無駄なので黙々と食べさせることにする。
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