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家に帰ると彩花は……当然のように玄関で出迎え、当然のようにキッチンに戻り当然のように包丁で隣にいる高梨さんを殺傷しようとしたわけだ。
「な、なんで……なんでこの家にこんな女を連れてきたんですかっ!ここは兄さんと私の……はっ、そうか、兄さんからしたら私も他人。わかりました、さようなら兄さん私は生まれ変わったら今度こそ兄さんの本当の妹に」
「だそうだ、高梨さん申し訳ないが」
「追い返すなら吊るね」
この会話で得られたことは高梨さんと彩花の系統が似てることだけだ。
二人を止めてとりあえず舞台をリビングに移した。
そこには彩花の手料理とコンドームが四つほど置いてあった。
昔は水筒の代わりにしていたという。
「なんで兄さんにすり寄るんですか。兄さんはこれといった特技もないし人間のランク的には低いです。包茎だし短小だし不細工だしいいところなんてひとつとしてありません、あなたならもっとふさわしい人間がいますよ」
「藤代くんは確かにこれといっていいところはないけど凄く優しいよ」
「勝手に兄さんの悪口を言わないでくださいっ!兄さんは世界で一番です」
ああだこうだと、かれこれ二時間以上話している。
とにかく俺はまたディスられている。
彩花の中の俺は人間性がとても低く、全くのごみらしい。
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