ないのとあるの2

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「なんでこの部屋にいるんですか?外に出てくださいっ!これから私は兄さんと子作りをするんですっ!」 夜、俺は部屋に戻ると彩花と高梨さんに侵入を許してしまった。 最も風呂場でのイベント、料理対決、意味不明な野球拳……そういう事態をいちいち回想していたら……。 まあ疲れに疲れたから部屋に戻ってもこんなふうになる。 俺はもう本当に眠い。 それでも高梨さんがきたことによりこの家がやかましくなるのはいいことだと思う。 彩花自身が俺とばかり接していても成長というものが始まらない可能性すらある。 苦手とする相手と話をするのは案外今後の人生によい影響を及ぼす場合もある。 人生経験の少ない俺がそういったところで説得力は皆無だが。 「私も混ざってもいい?」 「バカにしてるんですか?兄さんは私のです、私の兄で私だけの男です、近寄らないでください」 威嚇してるのか、俺を守るように前に出る。 俺が何故口を挟まないか、そんな風に思うかもしれないが、変に挟むと俺には強く出てきて余計ややこしくなるという配慮からきている。 外は満天の星空だというのになぜ人は揉めてしまうのか。 永遠の課題かもしれない、人間は言葉を使うコミュニケーションをとるから解決までに暴力をあまり使わないのは美点かもしれないけど。
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