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朝、高梨さんは特別なにもせず帰ってしまった。
目的は定かではないが本当に俺と彩花のそういう関係を再確認してドン引きした……高梨さんは来客用の個室で寝たしな。
それとなく目的を訪ねてみたいのだが、要領を得なかった。
勿論見せつけるように彩花は俺の部屋にきたわけだが、彩花もやはり意味がわからないといった感じでドアの前でひたすら警戒していて無駄に過ごしていた。
こういうのって高梨さんがでるとこでたら大変なことになりそう。
最もそうされたら突っぱねるわけにもいかないし俺は彩花と離れ離れになるぐらいならここを捨てて新しいところでやり直すつもりだ。
「兄さん、ひょっとしてあの雌犬は……いえ高梨さんはいい人かもしれません?」
「……詳しく聞こうか、彩花ならこの謎を解けるかもしれない」
「思い返せばあの方はいわば私と兄さんをくっつけてくれたきっかけをくれた人です。あれがいなければ私も兄さんとの関係を無理に進めようとは思いませんでした。そして今もこうして関わってくれているのは私達のことを心配しているから……どうですか?」
た、確かにそう言われてみるとそんな気もする。
死ぬとか言い出していたからうわ、こいつもメンヘラかよ、とか色々怖がったりもしてたけどそうか。
実際妹がこんなだから耐性はあったが、他人がそうなるとあそこまで綺麗で胸がでかくてもやばいとは思っていたからな。
「さすがだな、彩花。お前は俺の誇りだ」
「……え………ここで兄さんからいってもらいたいランキング3位をいただけるなんて……」
「…ちなみに他は?」
「1位は彩花、死んでくれ。2位は妹ごときにぃー、です」
とにかく高梨さんは実はいい人なんてことは俺も思っていた。
なんというか彩花とは違う意味で悪意がない、むしろ好意的だったと思う。
しかしそうなると春馬の警戒が外れたことになる。
あの男は最近特に俺にたいしてのなにか欲求行為が激しいきもするが、勘のいいやつだ。
それが外れたことになるが、いやまだそうと決まったわけではない。
「1位は絶対言わないし強要してきたら別れるわ、まじで。逆に俺と彩花の関係を確かめにきて公にして追い込む作戦のために確認しにきたのかもしれないが、そこはどう思う?」
「くっ、また野望が遠退きました。なるほど、その線もありそうですね」
「だろ?向こうがなりふり構わなくなったら俺も彩花を守るためには……」
「高梨さんが俺のことを好きすぎるからって大前提が虫酸が走る程気持ち悪いです、兄さんって別に全体的には結構下の方ですよ、鏡みたらわかりますよね?もし私がいなかったら兄さんは確実に孤独死するような残念な人間ですからね?あと守るためとかいいますけど本当になんかしたら私は私の権利を行使します」
「オッケー、もうなにもいわねえ」
「まあでも確かにそのパターンできたら困りますね。最も私は兄さんの妹です、妹とは兄に守られるだけではなく兄のことを時には守ります、この言葉の意味わかりますよね?」
兄妹とは助け合うってのはわかるが、ごめん、全然わからない。
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