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春馬のことは安堵した。
奴は相変わらずだし治りが悪いってぐらいだ。
そんなことは心配のうちにもはいらん。
いやまあ心配なんだけど死んだりしたり取り返しがつかないレベルではないからそこに関して安心しただけで本質的には早く戻ってこいとかそんな思いはある。
問題は彩花だ。
春馬の安否を確認し終えて、自宅に帰った。
少し肌寒いせいか、背中に鳥肌がたつというかなんだか嫌な感じがする。
「な、なるほど」
自宅について早速彩花についての説明を聞いた。
両親が言うには彩花は俺が意識を取り戻さないことに取り乱し自殺未遂を繰り返していて有名な催眠術の奴に頼んで俺に関する記憶を消してもらって今は父さんの叔父さんの家で静かに暮らしていると。
そんな夢みたい展開が‥‥いやそもそも夢の世界では彩花は俺に少なからず愛をくれていたが、こちらでは関係性は普通だったはず。
「お前が勝手に想うのはいいが、あの子も私達の娘だ、もしこっちに戻してなにかあったら責任取れるのか?」
「彩花には借りがあるし俺は兄だ、兄としての努めもある。なにより家族っていうのは一緒に暮らすべきだ。もしなにかあれば俺は俺の人生でそれを補う」
夢の中の出来事とはいえ彩花はきっと俺を助けてくれた。
俺がこっちに戻れるようにしてくれたしなにより俺は彩花の兄であり家族だ。
なら答えなんて決まっているし催眠術とかいう意味不明なものに‥‥‥いやこの際それはどうでもいい。
ん?いや俺は彩花をこんなにも思っていたのか?まあいい、とにかく妹を俺は守ると病院で誓っている。
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