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そんな俺の気迫に押されたのか次の日には彩花が帰ってくる段取りになっていた。
1日という少ない準備期間だしなにより現実での俺と彩花は普通に兄妹していただけなはずだったし自殺未遂するほど好かれていたとか思えないけどそうだった場合のために、一応オールマイティにどんな対応もこなせるようになんでも言うこときく券を3枚作成して渡すことにした。
もし記憶が戻らなくても今後なにかに迷った時行き詰まった時に助けてやれるし、戻ったら彼女の好きにさせてやれる。
そんな一石二鳥の考えで作成した。
蘇ってすぐにこれとは我ながらかなり策士だと思う。
両親は気味悪がっていたように見えたが俺はむしろ天才の誕生をびびっているように見えた。
「ひ、久しぶり。元気だったか?」
彩花は夢と同じ、いや現実でも何も変わってない姿に俺は少し声が裏返っていて変な言い方をしていた。
彩花はキョトンというどこか抜けている表情をしていた。
「彩花、これは彼からプレゼントだ。またこっちでみんなで暮らさないか?勿論彩花がいいなら今のままでいいし」
横槍とばかり父さんが割って入る。
母さんはすかさず彩花を撫でた。
我が両親ながら隙がない。
医者と看護師、そんな連携をここで垣間見た、そんな気がする、知らんけど。
しかし無表情な彩花はプレゼントを受け取ると口元がいびつに上がった気がしたが気のせいだろうか。
「いや実は彼は‥‥」
「お父さん、説明は不要です、それより早速この券を行使します」
そんな彩花の宣言に場の空気は彩花側へ流れ始めていた。
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