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「まず、1枚目は今より5分後から藤代優騎と藤代彩花は恋人関係になり別れるときはどちらかが死にます」
「2枚目、3枚目に関しては都度使うので保管しておきます。立会人は私のお母さんとお父さんです」
早口に近い喋りに彩花以外の3人は呆気にとられていた。
彼女は何を言ってるか、それがみんなよくわかっていない。
口火を開いたのは意外にも母さんだった。
「彩花ちゃん、優騎のこと覚えてるの?」
「私が兄さんのことを忘れるなんてあり得ません。片時も忘れたことなんてないですし、素直に叔父さんの家に行っていたのも目覚めた兄さんからなにかを引き出せる可能性を高めるためです。最も望むもの以上のものがでてきました、あと2分」
「ま、まあ彩花、お兄ちゃんもまだ起きてそんなに日が経ってないしそんながんがんいっても」
「お父さん、私は別にがっついていませんよ?ねえ、兄さん?恋人ですよ、もう」
時間だと言わんばかりに腕を絡めてきた。
俺はまだ状況がよく理解できてない。
両親の前でこの子は何を言っているとか俺はまた間違えたのかとかそんな思いもあったけど、変に濁されてたから彼女と会えてよかったという安堵感のほうが強い。
とても心配していた。
「お母さんはとりあえず夕食の準備して仕事戻ります、お父さんも仕事戻らないと行けないんでしょ?」
「そ、そうだね。じゃあ父さんはもう行くけど彩花、あんまりお兄ちゃんいじめちゃだめだぞ?」
「勿論ですよ、私が兄さんのこといじめるなんておこがましい」
足早に離脱した大人。
彩花は俺に満面の笑みを向けている。
「兄さん、色々話したいことがあるので私達も部屋に戻りましょう?」
「あ、ああそうだな」
腕を引かれ俺の部屋に向かった。
俺は夢の中の腕を掴まれていた感触と違いがなかったせいか、どこか懐かしい、そんな感じがした。
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