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戸締まりを確認して家を出る時間も大体同じ。
彩花が高校に上がってからは一緒に出ることになっている。
同じ高校だし、わざわざ一緒に行かないなんて意味のないことをするつもりはない。
「そうだ、今日はカラオケに行くから遅くなるわ」
「………兄さん、私を裏切るってことですか?」
表情がなんとも怖い。
怒っていないのだろうが、俺を追い詰めるように見てくる。
「クラスで行かないかって話になったから行くだけ。裏切るもなにもないだろ?」
暑い、もうすぐ夏休み、そんな季節のせいか既にワイシャツが汗ばんでいる。
いや彩花が俺の腕にしがみついてるからか。
彩花は俺からなにか探りたいようでじっと見つめられている。
息遣いとか表情、なにか微妙な変化で俺の真意を見極めようとしているらしい。
「そうですか。ふふ、わかりました」
そういって急に彩花は表情を戻した。
彼女なりになにかを得られたんだと思う。
最も俺は明後日の休みはどうするか考えていただけだ。
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