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「あれ、兄さん」
様子だけでもと思ってドアを開けたのがマズかったのか、彩花は目を覚ましてしまった。
風邪を引きやすいというか、生まれつき体が弱いせいか数ヶ月に一度はこうなってしまう。
まあ小学校時代はよく入院とかしていたからそこよりはよくなったが…。
「悪い、起こしたか。それよりどうだ、体調は?」
デコを触ると確かにちょっと熱い。
もとから体温が低いから微熱でも結構キツいんだろう。
「ご、ごめんなさい。せっかく兄さんのタイプの胸の大きな女性が来ていたのに邪魔してしまって」
「ばか、それで連絡しなかったらそっちに怒ってた。いや待て、なんで俺の趣味を……それよりなんであいつが来ることを……」
「あてずっぽですよ。でも兄さんは私を優先してくれました。幸せです、勢いで犯してください」
本当に期待しているような視線。
確かに熱のせいで色っぽくみえるが、兄妹の線引きがなされている俺にはどうも思わない。
おかゆ作るから、そういって部屋を出た。
タイミングもあれだから仮病かな、とか思ったがどうやら俺が思っているよりかは大人か。
さすがに高校に上がったんだから嘘だから叱ってやろうとか考えていた自分が恥ずかしい。
そういえば彩花の部屋のゴミ箱にホッカイロの袋が入っていた。
ひょっとしたら寒いのかもしれないから特製の生姜湯を作ってやるか。
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