沖縄

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 どうやら地元民である僕の意見を求めているらしい。そのつまらなさに僕は口を開く。 「こっちの人間がお喋りなだけですよ。皆我が強いじゃないですか、けっこう圧倒されるんですって。お酒飲んで腹割って話せば仲良くなれますよ」 「ならん! 内地の人間なんてな、皆冷たいんだぞ? やれ煙草臭い、酒臭い、仕事は真面目にしろ、どこそこが間違っている、我儘ばかりだ! これだから内地は!」  その言葉にまたも県民性を思い返す。とにかく酒を飲み、煙草で遊ぶ、真面目というモノはだいたい母親の胎内に置いてきている。  他人の迷惑なんぞ欠片ほども気にせず自分さえ良ければいいという自分勝手な性格、我強いからポンポン文句が飛び出し怒鳴り散らす。  昔の頑固の父親像とそう変わらない男性至上主義。男女平等だと囁かれている今でも男性上位が当たり前の世界、本人達は喧嘩や文句の言い合いなんぞ子供の頃から繰り返して来ているからそれが当然だと思っている。  喧嘩も当然、文句じゃなくただ言い合って自分の言葉の正しさを主張しているだけ、それを恐ろしい剣幕で言うのだ最初に見た人は恐縮するに決まっている。  事勿れ主義の内地の人間が沖縄色に一瞬で馴染める訳が無い。  流石、お金が円になる前はドルやセント単位だった沖縄。外人と同じく言いたいことは物怖じせずに上司だろうがなんだろうが言い放つ性格だ、それに最初から付いて行ける人間は少ないだろう。  頑固で人の意見で自分の意見を曲げる事はせずにいる唯我独尊ぶりだ。  きっと刀を持てばそのまま江戸時代辺りの武士にそのまま成れるだろう、肩がぶつかって謝っても怒声が轟き唾を飛ばすくらいなのだから。  若い奴はこれだから、という話もあるが自らの行動を省みてから言って欲しいものだ。  それと同じで内地は、内地はと独断と偏見に塗れた思考こそが県民性の一部なのだと外の風景を見ながら僕は考えた。
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