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僕が地元民だからと無愛想な顔を笑顔にしてくれた運転手のおじさんにお礼を言って、エンジンを必要以上に吹かし対向車や後ろから来る車の迷惑なんか考えずに突っ走っていくタクシーを見送った。
排気ガスの臭さに思わず咳き込みながらカバンをしっかりと肩に掛けて歩く。
歪に工事された凸凹な狭い道路、電線が切れている電柱、落書きされたままの石垣、狭い敷地に入らない軽トラや軽自動車、窓が開け放たれトランクス一丁のおじさん、グローブ片手に走っていく子供達。
その光景を懐かしみ、バナナの木を眺めてゴーヤの実り具合に関心する。
ハイビスカスを植えている家は無いことに安心しつつ、なんであんなものを見て沖縄だと感じるのか意味が解らない。
菊の花や白百合と同じ死者に供える花で墓地に植える花なのに、最近じゃハイビスカスを頭に挿して水着姿で笑う女性が沖縄をアピールする雑誌の写真が増えている。
イメージが湧かないなら菊の花や白百合を頭に挿して笑っている姿を想像するといい、その滑稽さと言ったら失笑くらいしか起きないはずだ。
お前そんな花挿して何笑ってんだ、と。法事で明るい色の服を着て無作法を働くのと一緒だと僕は思っている。
いくら見た目が良くとも、はいどうぞと送られた日には相手に叩きつけて怒ってもいいくらいだ。
これは所謂、その地独特の裏話という奴でどこにでもある話だろう。どこぞの神社だの廃病院だの地元の木々や観光地など。
地元民だけが知っている裏話、それを楽しそうに見ている観光客を不思議そうな視線で見るのだ地元民は。
なんであんな曰くつきのモノをキラキラとした視線で見るのか、と。
一度、観光に行く時は少しだけ調べる事をおススメする。
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