君に伝えたいこと

プロローグ

　そんな中で仕事をするとなれば、もし、明日が木曜日だったら金曜日には星野の名前が消されているかもしれない。

　いや、金曜日であっても名前が消えているかもしれない。

『ちょっと、林田さん。大丈夫？』

「大丈夫です、わかりました。では明日、よろしくお願いします」

『はいはーい。それじゃ、失礼します』

「はい、失礼します」

　ピ、と電話を切る。

　手汗で危うく洗面台に携帯を落とすところだった。

　自分で思っているよりもはるかに、緊張していたらしい。

　たかだか仕事の連絡だ。

　何をそんなに意識することがあるのだろう。

　明日が金曜日で良かった。

　女子の世界は驚くほどに地獄と化しているので、明日が憂鬱過ぎる。