紫陽花

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その時、予期せぬ更なる痛みが頭皮を襲った。 少女の髪を鷲掴むようにして激流から引きずり出したのは、近所の顔見知りのおじさんだった。 彼は怒声を響かせ、容赦なく平手を張った。 意味も分からずにその痛みに耐え、助けられたことに対する礼を言うと、そのまま家まで送り届けられた。 床上まで浸水した家の玄関の水溜まりに投げ捨てる様に彼女を放って、彼は両親への挨拶も抜きに帰ってしまった。
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