紫陽花

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彼女のストーリーを話し終えた後、老婆はまた庭の紫陽花を見やった。 暗い記憶を思い起こさせるその季節を彩る花を、愛でる気持ちはあるのだ。 「嫌いじゃあないかなぁ」 それが、最初の「雨が怖いか」という質問に対する答えだった。 「好きにもなれないけどねぇ」 そう言いながら、彼女は冷めた茶を啜った。
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