紫陽花

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自分の浅はかな行動が招いた父親の死から、60年。『あの日』の全てを語ったのは、今日が初めてだと言う。 水害の脅威を経験談から学び語り継ぐ。この取材は、60年越しに彼女の傷を抉ったことだろう。 必要のないことまでしゃべらせてしまったことに、申し訳ない思いがこみ上げる。 だが、頭を下げる私を制して老婆は縋るように言った。 「若い人に伝えてください。自然の恐ろしさと、人間の愚かさを」
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