582人が本棚に入れています
本棚に追加
/75ページ
あの後、講義をサボって俺の家に向かった。
「そういや、お前どこに住んでるの?」
「ん?ここ」
「え?」
「だから、このアパート」
そう言って指差した先は、古びたアパートで。
それより何より…
「………ストーカー?」
「うん。朔夢のばあちゃんの家の近くを探したら、隣のアパートが空いてた」
祖母の家の横とか。
俺、まじに知らなかったんだけど。
「だから、朔夢が学校行く時とか風呂に入ってるとか、寝る時間もバッチリ把握済み」
「……信じらんねぇ」
呆れて何も言えなかった。祖母の家は古いけど一軒家で、優也は小さい頃に何度か遊びに来ていた。
「懐かしいな。あの時はまだ朔夢のじいちゃんも生きてたから、何か不思議な感じ」
思えば、その頃が一番楽しかったのかも知れない。
まさか優也の家族とこんな事になるなんて、思いもしなかったから。
「で?朔夢の部屋は?」
「2階。つか知ってんだろ?」
「ああ。俺の部屋の前だもん」
「………あっそ」
確かに隣のアパート側だけど、もう突っ込みをいれる気もない。
,
最初のコメントを投稿しよう!