嗜好錯誤

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嗜好錯誤

舌先痺れる辛辣の人形 舐め回す飴の甘味は壱 激情晒す独り言の至福 眼の無い空間、悦は弍 耳から脳を犯し狂う夜 無価値な自分の声は参 至極当然ながら自分次第 仮初めの忘却か、はたまた増長か 浅き夢の中を泳ぐ姿 恐れアイシテル嗜好錯誤 価値を誤魔化す無色透明 乖離概念、二枚舌並の想 アイサレタイダレヨリモ コエガキコエルクウカン 悍ましさは虚飾と満足感 『理解不能』と常人のままでいい 奥まで突いて吐き散らす鬱屈さえ誰もが持つ逃避願望 硝子の箱の中の宝石箱 中身は何時も空っぽ 飾りたい『価値』、それは朧気 硝子の箱を開けないのは暗黙の了解 開ければそれは晒される 宝石箱の中を保つ事は難しい 開けなけりゃ良いのに… 人間は『親愛、友愛』の皮を被ってその宝石箱の中身を暴きたがる 『実際、目の前のこの人間は自分の事をどう思っているのか?』 知ってどうする? 知るも知らぬもどちらも怖い 表裏を欲して真偽は錯乱 自分を見失う 見失ったからこそ解る事 多顔の表裏 何時、如何なる場合にも対応する顔 案外どの顔を用いても否応無く『本当』が出る時は出てしまう 自分の中の『本当』と他人の中の『本当の貴方』は違う 自分の中の『偽り』と他人の中の『偽りの貴方』は違う 何が本当で何が嘘でなどと探し求める事、繋ぎとめる事さえ億劫になった 暴きたきゃ暴けばいい どれが本当の俺であるかは相手が決めりゃいい なんだかんだとその思考は全て無駄 相手が居てこそ価値がある 自分を意識してこそ意味がある 硝子の中の宝石箱の中身は空っぽ 外観だけに価値がある 人間は意に添わないモノを意識から淘汰する 認識さえしない 宝石箱が満たされていても意に添わないモノならば…… 偏見塗れの眼球じゃ『本当の自分』と言う心の価値さえ有って無い様なモノ 俺が変わり腐っているのではない 他の概念が狭いだけだ 時折それが窮屈で仕方が無い
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